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『身体的、性的、心理的に女性に対して危害、苦しみを与える行為であり、その中には強迫、自由の剥奪も含まれる。それが社会あるいは私的な生活で行われようとも、女性に対して危害を加えるもの、ジェンダーに基づいた差別はすべて暴力になる』
従って、家庭内の性的、身体的、心理的な暴力は、暴力とみなされます。小さな女の子に対する性的虐待、家庭内でのそのような虐待も暴力であり、結納金や持参金をめぐる暴力、結婚生活上のレイプ、女性の生殖器切除、そのような従来、「慣行」といわれたものも、女性に対する暴力と認定されたわけです。
第2に、女性の無給労働に焦点を当てました。多くの女性は有給の仕事に就かず、報酬を受けない仕事をしています。実際には家庭においても、自営においても、中小企業においても、女性は多くの場で働いていて、いわゆるフォーマル・セクターとインフォーマル・セクターで働く女性、そして家庭で働く女性の仕事の量を合わせると、どんな分類においても一番働いているのです。しかし、それが統計上になかなか現れてきていません。
経済活動上における女性の貢献が十分に評価されず、そのため十分な報酬も与えられていないのです。国連開発計画はごく最近の年次報告で、この点について強調し、「女性が無給で働いているその労働価値に、金銭的な価値を与えるならば、各国のGDPは30%増えるであろう」と述べています。
第3に人権という枠組みの中で女性の女性としての権利を確認しました。これは第96パラグラフに書いてありますが、「女性の人権には、自由にそして責任をもって、性行動に関わる問題、性と生殖に関わる健康の問題について決定する権利が含まれる。性的な関係、出産について男女は対等な立場に立ち、そして女性の尊厳を守り、相互に尊重しながら同意をもって、男女が性的な行動を行い、その結果を引き受けなければならない」。そのようにすべての事象に対して、自由にコントロールする責任を持つのが女性の権利であると確認されました。
第4に女児の権利についても確認されました。ニューヨークで開催された直前の準備会議で、この女児の権利についての合意がなされました。この合意はアジア・アフリカのグループが中心になって働きかけることで成立しました。この女児に対する権利が確認されたことは、大変重要なことであり、北京での大きな成果であると考えています。
また、第5として北京では、女性の出稼ぎ労働者についての問題についても協議されました。非常に脆弱な立場に置かれている女性です。移民労働者を考える場合には、やはり女性の移民労働者についても討議する必要があります。これまで移民や移住する女性について討議されていても、仕事のために移民、移住する女性については余り討議されませんでした。北京では第116パラグラフで指摘されています。
「難民、少数者、先住民、移民労働者、遠隔地・農村部に住む貧困女性、制度・施

 

 

 

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